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原発震災を防ごう - 02

2011/03/13 17:18

 

原発震災を防ごう - 02

 

  1999年に指摘されていたことが、現実に起こりました

 

東海村シンドローム
“朝日新聞がボツにした地震学者の「警鐘論文」

サンデー毎日1999/11/21

 

 東海大地震説を初めて説いた地震学者が東海村・臨界事故に関連して
書いた「警鐘論文」がボツになった。各紙の事情はあるだろう。だが、
不採用を告げるはが きには学者を憤慨させる意味深な添え害きがあった──。
この論文の趣旨を重要 だと考え、本誌であえて掲載したい。

ルポライター 石黒二郎

 

 

 「原発震災」なる言葉をご存じだろうか。筆者は不勉強にも、つい最近まで知ら なかった。いや、「知らされていなかった」と言ったほうがいいのかもしれな い。

 これは、関東大震災阪神大震災のような大規模地震による災害に原発事故まで が加わるという、空前絶後の破滅的的災害を意味する言葉である。

 まずは左ページの論文の、特に後半部分を読んでいただきたい。ただただ驚愕す るしかないこの論文の筆者は、23年前にあの「東海大地震説」を打ち立てた石橋 克彦・神戸大学教授である。ところでこの論文、そもそもは『朝日新間』の名物 コーナー『論壇』欄に掲載してもらおうと、石橋教授が投稿したものだった。

臨界事故が起きた今こそ、できるだけ多くの人に『原発震災』の破滅的な恐ろ しさを知ってもらい、国民的議論のきっかけにしてほしいと考えたわけです」 (石橋教授)

 

 

 

  

今こそ「原発震災」直視を

  

石橋克彦

 

  九月末に茨城県東海村の民間核燃料加工施設で起きた臨界事故の真の
散訓は、原子力の本質的な恐さを見据えて、あらゆる面での安全性を
総点検し、それを踏まえて原子力政策を根底から考え直すことだろう。
しかし現実は、ずさんな施設の 安全性確保や小規模事故の防災体制と
いった議論にとどまっている。小論では、見過こされている
「原発震災」の現実的可能性を直視すべきことを訴えたい。それは、
原子力発電所(原発)が地震で大事故を起こし、通常の震災と
放射能災害 とが複合・増幅しあう破局的災害である

 

 政府・電力会社は、原発は耐震設計審査指針」耐震性が保証されて
いるから 大地震でも絶対に大丈夫だという。しかし、その根底にある地震
(地下の岩石破壊現象)と地震動(地震による揺れ)の想定が地震学的に
間違っており、従って それに基づいた耐震性は不十分である

 

 そもそも、日本列島の地震の起こり方の理解が進んだ今となっては、
列島を縁取る一六の商業用原発(原子炉五一基)のほとんどが、大地震に
直撃されやすい場所に立地している。日本海東縁~山陰の地震帯の
柏崎刈羽・若狭湾岸・島根、「スラブ内地震」という型の大地震が足下で
起こる女川・福島・東海・伊万、東 海巨大地震の予想震源域の真っただ
中の浜岡などである。原子炉設置許可の際、 過去の大地震や既知の
活断層しか考慮していないが、日本海側などでは大地震の繰り返し年数が
非常に長いから、過去の地震が知られていない場所のほうが危険である。

 

  また、活断層が無くてもマグニチュード(M)7級の直下地震が起こり
うることは現代地震科学の常議であるのに、原発は活断層の無いところに
建設するという理由でM6・5までしか考慮していない
。しかも実ほ、
多くの原発の近くに活断層がある。最近、島根原発の直近に長さ8キロの
活断層が確認されたが、中国電力と通産省は、それに対応する地震は
M6・3にすぎないとして安全宣言を出した。しかし、長さ八キロの
活断層の地下でM7・2の1943年鳥取地震が起 こって大災害を
生じたような実例も多く、この安全宣言は完全に間違っている。

 

  要するに、日本中のどの原発も想定外の大地震に襲われる可能性が
ある。その場合には、多くの機器・配管系が同時に損傷する恐れが強く、
多重の安全装置がす べて故障する状況も考えられる。しかしそのような
事態は想定されていないから、最悪のケースでは、
核暴走炉心溶融
いう
「過酷事故、さらには水蒸気 爆発や水素爆発が起こって、炉心の
莫大な放射性物質が原発の外に放出されるだろう
。一般論として原発で
過酷事故が起こりうることは電力会社も原子力安全委員会も認めている。
一方、米国原子力貴制委員会の報告では、地震による過酷事故の発生確率
が、原発内の故障等に起因する場合よりずっと大きいという。

 

  例えばM8級の東海地震が起これば、阪神大量災を一ケタ上回る
広域大震災が生じ、新幹線の脱線転覆などもありうる。そこに
浜岡原発
大事故が重なれば、震災地の救援・復旧が強い放射能のために不可能に
なるとともに、原発の事故処理 や近隣住民の放射能からの避難も
地震被害のために困難をきわめ、彼災地は放棄されて真大な命が見殺しに
されるだろう。また、周辺の膨大な人々が避難しなければならない

浜岡の過酷事故では、条件によっては、十数キロ圏内の九〇%以上の人が
急性死し、茨城県や兵庫県までの風下側が長期居住不能になるという予測もある。

 

  このように原発震災は、おびただしい数の急性および晩発性の死者と
障害者と遺伝的影響を生じ、国土の何割かを喪失させ、社会を崩壊させ
て、地震の揺れを感 じなかった遠方の地や未来世代までを容赦なく
覆い尽くす。そして、放射能汚染が地球全体に及ぷ。この事態に対して、
臨時国会に提案されるという原子力防災法案は、本紙(注-朝日新聞)の
報道で概略を知る限り何の役にも立たない。地震活動期に入りつつある
日本列島で51基もの大型原子炉を日々動かしている 私たちは、
 ロシアンルーレットをしているに等しい。
この地震列島・原発列島に
 暮らすすべての人々が、この現実を正しく知って、どうすべきか考える責任がある。

(神戸大学教授・地震学=投稿)


(筆者注)

 

 

 

 

耐震設計審査指針
原子力安全委員会が定めた、原発建設の際の耐震設計の評価目安。
スラブ内地震
日本の太平洋岸のやや深いところで起きる地震。岩石破壊の仕方が激しく、原発 にとって都合の悪い揺れを生じやすい。
活断層
過去数十~二百万年の間にずれ動き、将来も活動する可能性のある断層。直下地 震の震源になる。
核暴走
原子炉が制御不能に陥ること。86年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故は、この 果てに放射能を世界中にバラまいた。
炉心溶融
原発で炉心を冷やす冷却剤が失われ、炉心が溶け出すこと。79年の米・スリーマ イル島原発裏故で起きた。
過酷事故
チェルノブイリ原発やスリーマイル島原発で起きたような、文字通りの 過酷な事故
浜岡原発
静岡県浜岡町にある。御前崎の近く。現在、4基の原発が稼働中。

参考情報: 東海地震と原発震災

 

 

 

 


原子力発電がなくても暮らせる社会をつくる国民会議
http://genpatsu_shinsai.tripod.co.jp/

 

 

 

 

 

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